OKAYAMA DENIM
物語
デニムの聖地「岡山」
わたし達の暮らす岡山県の南部は、かつては「吉備の穴海」と呼ばれるような大小の島々が点在する一面の海でしたが、江戸時代に入ってから多くの土地面積が干拓より作り出されました。
干拓をした初めの数年は土壌に塩分を含み米や麦などの農作物に向かず、苦心の末に、塩分を含む土地でも栽培できる綿花が一帯に植えられるように。
そして、大切に育てた綿花の紡績を行い、紡績した綿を織機で織り上げて綿製品へ加工していく過程でデニムを取扱い初め、、、 現在、海外からも注目を集めるデニムの聖地「岡山」となってきたのです。
拘りのインディゴ
岡山デニムのクオリティーが世界から支持を集めている理由の一つに、美しいインディゴの発色があります。
天然の藍は、とても美しい藍に発色する反面、保管の面や染色時の色ブレ/染色後の退色の速さなど、扱いがとてもが難しいという難点も。
岡山ではこの美しい天然藍の発色を安定的に再現する為に、日本の藍染の技術を元に合成インディゴの研究を行って天然藍の発色に近くなるよう試行錯誤を重ね続け、岡山デニムならではの藍色の発色を持つ独自のインディゴ染料を生み出すことに成功しました。
染色
デニム素材の特徴として、色落ちも大切な要素です。
染め方には、枷染めとロープ染めという二つの方法が存在します。
枷染めは全て手作業で行います。藍が入った壺に束ねて輪状にした糸を何度も浸けては絞り、空気にさらして酸化させる、を繰り返して青く染めるといった手法で、非常に手間が掛かり希少性は増すのですが、糸の芯まで青く染まってしまいデニム独特の色落ちをさせるのには向いていません。
デニムにはロープ染色
もう一つのロープ染は、ロープ状に束ねた糸が機械に巻き取られる過程で、染料の液に浸かりその後空気に触れて酸化させる、を繰り返して青く染める手法です。
インディゴは染着力が弱いため、ロープ染色を何度も繰り返し、美しい色に染あげていくのですが、ロープ染色で染めた糸は、糸の中心までは染まらず、「中白」という状態で仕上がります。
実はデニムの味わい深い色落ちにはこれがとても重要で、ロープ染色で染められたデニムは、着込むほどに青と白のコントラストを生み、デニム特有の風合いが増し、自分だけの1着に育てていくことができるのです。
旧力織機ションヘル式で織り上げる
現代の織機は、量産の為にスピードを求め、空気や水の力でタテ糸を飛ばし織り上げるのが主流になっています。
対して、旧力織機ションヘル式では、タテ糸はテンションを強くかけることなく職人さんの経験に頼り、その時の糸の状態を見極めて最適な強さで張られながら織られていきます。
ゆっくりと空気を含ませながら手作業で織るタテ糸の適度なゆとりが、デニム特有の凹凸感のある表情を生み、その凹凸が、着込んでいくうちにタテオチやヒゲ、ハニカムといった表情豊かな色落ちに繋がって行くのです。
さらに、狭幅でセルビッチと言われる耳が織物の両端に形成されます。これが、デニム愛好家の間で親しまれ求められている “ 耳付きデニム ” です。
デニムの聖地「岡山」の誕生には、偶然とも必然とも言える歴史が存在していたのです。
それから長い年月の中で、多くの岡山の職人の熱意と伝統の技が、今の岡山デニムを作り上げ、その手法が現在も粛々と受け継がれています。
“ 自分のデニムスーツ ” の歴史を知ることで、より愛着をもって、これからの人生永く着続けていただけると幸いです。
デニム生地の国内生産量80%以上のシェアを誇る備中備後エリア。
ロードハウスではその中でも、KUROKI DENIMやKAIHARA DENIMなどのナショナルブランドと、プレミアゾーンと呼ばれる世界的高級ジーンズブランドの素材として取り扱われているこだわりのデニムを中心に取扱いしております。